2017/03/20 16:11
前編では“illegal soul”を掘り下げてみましたが、後編は、3枚の7インチレコードをリリースしたH.G.FACT時代からとなります。この時期のDOOMは情報が少なく謎のままでありましたが、赤裸々なことも含め語ってくれています。ちなみに、この3枚からの全4曲は今回ボーナストラックとして収録。初CD化の貴重な音源です。では、インタビュー 後編をどうぞ!!
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■今回のリイシューでは、H.G.FACTからリリースされたEPの楽曲が全て収録されています。当時、H.G.FACTからリリースへと至った経緯など教えてください。
藤田:H.G.FACT代表が、昔からDOOMが世話になっていた某誌のライターでもあったので、面識はあったよ。H.G.FACT始動前に、個人でレーベルを始めようと思っているという話は聞いていたり。しばらくしてH.G.FACTサイドからオファー頂き、ありがたく乗った形だね。
■その7インチについてですが、COCOBATとのスプリット作収録の“THE NiGHTMARE RUNS”は諸田さん最後の参加作品で、初期に戻ったかのようなスピーディーなスラッシュ・ナンバーですが、これは意識して曲作りをされましたか?
藤田:これは初期のDOOMを彷彿とさせるような曲にして欲しいと、レーベル側からリクエストがあったね。完成した曲を聴かせた時に、笑顔で「こういうのを待っていました!」と言ってもらえて、何かすごく俺らも嬉しく思えたのは忘れられないな。
■一方でHEDGEHOGとのスプリットやDOOM単独作の“FREAK OUT”は、かなり前衛的な作風ですよね。この辺りからSHELLSHOCKのMASAMI CHIBAさんが加入されていますが、その経緯を教えてください。また楽曲制作において何か変化はありましたか?
藤田:実はすでに“illegal soul”の制作段階で、諸田の左腕の腱鞘炎はすでにピークを通り過ぎていて最悪の状態で。でも“illegal soul”での彼のプレイは、最悪のコンディションで最高のプレイを残してくれたんだよね。で“THE NiGHTMARE RUNS”制作の頃は、その腕のコンディションが精神的にダメージも与え始めていてね。少しバンドから離れる流れになりつつも、それでもバンドで受けたレコーディングやライブは、きっちりやらないといけない責任もあるので、友人であり、DOOMのファンでもいてくれたSHELLSHOCKの千葉くんに相談して手伝ってもらったのが経緯だね。HEDGEHOGは事前に作品も聴いて、当時のノイズロックとの予備知識はあったので、こちらが普通に曲を作るのも面白くないかなとは漠然とは考えていたかな。おまけにバンドの状況も最悪だったのもあって、単独作の“FREAK OUT”の方も同様に、ほぼインプロなアプローチでやったね。
■その単独作“FREAK OUT”は、A面の“A CRUEL WORLD”とB面の“BROKEN WALLS”が、同じリズムパターンから始まり変化していく兄弟的な作風ですが、どのような意味が込められていますか?
藤田:今言ったようにバンド状況が最悪な事もある中、制作しなければならない責任もありつつ考えた苦肉の策が、テーマをひとつに絞って2曲を作るというアイデアだね。格好良く言い換えれば、一つのテーマへの2つのインプロビゼーション(笑)ただ、当時の未熟な自分たちには、とてつもなくハードルが高かったけどね、、、
■印象的なジャケットはパズヘッドが手がけていますが、日本のバンドをパズヘッドが手がけるというのも珍しい頃ですよね。メンバーの強い希望だったのですか?
藤田:彼自身 日本が好きで、おまけに日本のアニメ、フィギアのコレクターでもあってね。ちょくちょく日本にも来ていたし、COCOBATの坂本くんとも仲良しで。そんな中、彼は日本のスラッシュメタルやハードコアに興味を持っていて、DOOMのファンでもいてくれたのが縁だね。GASTUNKのデザインとかでも印象深いし、GASTUNK繋がりのPAZZがDOOMでプレイしていたこともあってお願いしたんだったかな。
■今回のリイシューに関してですが、ジャケット含めパッケージが一新されていますね。
藤田:当時は経費削減という制作するにあたってのテーマ的なものがあったので、紙質やらブックレットも納得するものは出来ず、、、今回はリマスタリング再発ということもあって、心機一転ではないけれども、新たな気持ちも含めて変えてみたんだよね。今回はジャケットのオブジェで、電気が付いているものがフロントジャケへ、元々の電気が付いていないものはバックジャケットへと大きく変えているよ。当時は気がつかなかったけど、後から見ると電気が消えているオブジェが変に思えてね〜、当時の暗雲というか悶々としたDOOMをそのまま表していたのかもね、、、
■話はまた変わりまして、この頃 メンバーの皆さんの愛聴していたアーティスト/作品など、どの辺でしたか?
藤田:多分 諸田はジョニ・ミッチェルなどジャコが参加しているものや、RED HOT CHILI PEPPERS、FISHBONE、PRIMUSなどのファンク/ミクスチャー系だったかな、俺はNINE INCH NAILSやMINISTRYとビアフラが合体したLARD、KILLING JOKEなどだったような。
PAZZ:俺はWEATHER REPORTとかBRECKER BROTHERSみたいな、激しく妖艶なやつがお気に入りだったかな。今、聴き直してみるとヒントになっていたかもね。
藤田:そういえば、この頃のことで思い出したんだけど、スティーブ・アルビニが来日していて、DOOMのメンバーにも会いたがっているとの話を聞いてね。そこまで言ってくれているなら、自分たちの作品やTシャツなどをプレゼントしようかと。さらにタイミング良くZENI GEVA NULL氏/吉田達也氏と吉祥寺のスタジオでジャムをすると聞き、ギターを持ってお邪魔したことがあったね。凶悪なジャムセッションだったよ。
■なるほど、当時の新しい音楽にも精通していたんですね。それにしても、そのジャムセッションは錚々たる面子で凄いですね。録音とかしていなかったんですか!?
藤田:録音とかしていなかったと思うよ。奇跡的に誰か持っていたりしてね(笑)あるなら聴きたいね。
PAZZ:この頃のツアーで、確かOUTRAGEと北海道に行ったの覚えているな〜。言えないことだらけだけど(笑)
■再始動後の現編成で“BLOOD ON THE RiSE”、“水葬”、“THE NiGHTMARE RUNS”は演奏されていますが、他の収録曲のライブ演奏の可能性はあるのでしょうか? まだまだ聴きたい曲があるので、やって欲しいのですが。
藤田:6月のワンマン・ライブは時間がたっぷりあるので考えているよ。すでにスタジオでは他の曲も試しているし。昔の曲を掘り下げてやっていると、なんでここでこんな展開?とか、なんだこれっ?て感じで新たな発見が多くてね(笑)ギターと歌のアンサンブルが、“illegal soul”では他のアルバムよりもちょっと複雑になってたりするし、“ムズカシイ”ことは確かだよ。ただ先にも言ったけど、最悪のコンディションで最高のプレイをした諸田に負けぬよう、そして恥ずかしくないよう、今の俺たちは魂込めてやるだけだよ。
■今年はいろいろと他にも作品が出る噂もありますし、ライブも多いので楽しみにしています。ありがとうございました!
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